WebサイトやSNS等でもよく見かけるようになた動画広告。実際に効果はどれくらいあるのでしょうか?企業でも検討してみる価値はあるのでしょうか?
今回の記事では企業のWeb担当もしくはマーケティング担当の方に向けて、実際の数字をご紹介しながら動画広告の広告効果や、動画広告の広告効果をより高める方法について、現場の映像製作者としての視点を交えながらご紹介します。
目次
数字で見る動画広告の効果
まずは動画広告の効果について、具体的な数字で見てみましょう。注目を集めている動画広告ですが、実際にどれだけの効果があるのでしょうか。
5,000倍以上の情報伝達能力!
アメリカの調査会社、Forrester ResearchのJames L. McQuivey博士が2014年4月に発表した研究結果によると1分間の動画から伝わる情報量は、文字に換算すると180万語になるとの結果が出ています。
文字での情報は、読む人の読解力や想像力、知識量に依存し、さらには言語や年齢により伝わり方が変わってきます。
それに比較し動画での情報は、文字情報だけでなく実際の視覚情報として、映像そのものを視聴者に直接届けるためイメージがしやすいのが特徴です。また動画は音声として聴覚にも働きかけるため、受け手はより多くの器官で情報を受信できます。これにより文字での情報伝達と比較し、伝わり方が視聴者の能力に影響しづらく、情報発信者も伝えたいメッセージを伝えたい形で誤解少なく伝えられるのが特徴です。
7.5倍のクリック率!
動画広告はディスプレイ広告よりCTR(クリック率)が7.5倍高くなると言われています。
クリック率とは、広告が表示された回数に対してどれくらいのクリック数があったかの割合のことです。
広告の表示回数に対してクリック数が多いほど、クリック率は高くなります。
つまり、クリック率は広告を見た人に対してどの程度の人がその広告に興味・関心があって広告をクリックしたのかが分かる数値であり、クリック率が高い=多くの人が興味・関心を持って広告をクリックしたということです。
モバイル広告サービスの運営会社Smaatoとアプリマーケティング会社Liftoffの調査によると「動画広告はディスプレイ広告よりCTR(クリック率)が7.5倍高い」ことがわかっています。
出典:Study: Video ads see 7.5X higher CTR than display
https://www.marketingdive.com/news/study-video-ads-see-75x-higher-ctr-than-display/555298/
92.8%のスマホ所有率
アナログ広告(紙面広告)は、特定の地域やターゲットへ確実に広告を届けられるという点で動画に優っていますが、その反面、新しいターゲットの拡大や広告そのものの拡散力は動画広告等のデジタル広告と比較しかなり劣ります。
現代では多くの情報がデジタル端末を介して流通しています。NTTドコモ モバイル社会研究所が、2021年1月にスマートフォン・ケータイ所有に関する動向について調査を実施したところ、携帯電話のスマートフォン比率は2010年には4%程度でしたが、2021年には9割を超え92.8%になり、ここ10年で急速に増加しています。
このような変化に伴い、広告のあり方も「確実に届ける」から「より多くの人に届ける」拡散力重視へとシフトしてきています。
動画広告はデジタル広告であるため、誰でも簡単に、時間に縛られることなくワンクリックで情報共有が可能になり、その拡散により広告効果も高まっています。
このようにスマートフォンの普及により、動画広告を始めデジタル広告の拡散力が今後の広告市場に大きな変化を与え続けることが考えられます。
出典:「モバイル社会白書 2021 年版」
https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_210914_00.pdf
前年比121.3%の動画市場!
国内電通グループのデジタル広告領域を牽引する4社(CCI/ D2C/電通/電通デジタル)は、電通が2021年2月に発表した「2020年 日本の広告費」をさらに分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表しました。
この発表によると2020年の動画広告は前年比121.3%の3,862億円となっており大幅な伸長が見られます。
また、株式会社サイバーエージェントが主体となって調査した動画広告市場規模の推計・予測によると、2021年以降も動画広告市場は成長を続け2024年には6,856億円となる見込みです。
出典:
「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0310-010348.html
サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25548
動画広告の効果をより高める方法
ここまで動画広告が他の広告よりも広告効果が高いことを解説してきましたが、動画なら何でも広告効果が高いという訳ではありません。ここでは動画広告の広告効果を高めるためのポイントを3つ解説します。
動画広告の目的とターゲットを明確にする
動画制作を自社で制作するにしても外注に依頼するとしても、必ず最初に決めておかなければならないのが動画広告の目的、ターゲットを整理することです。この軸が定まっていないと自社制作ではもちろん、予算を多くかけて実績のある制作会社に外注したとしても、広告効果の高い動画広告を制作するのは困難でしょう。
だからこそ、まず最初にすべきことは、なぜ動画を制作するのかという目的を明確にすることです。当然のことながら動画を制作しようというときには何らかの目的があるはずです。その目的を明確にし、動画制作に関わる全ての人が「目的」の共有をして初めて動画制作はスタートします。
目的の次に決めることはターゲット=誰にその動画を届けたいのかを明確にすることです。動画広告の広告効果を高めるためには、誰にその動画を届けたいのかを具体的に設定することが重要となります。動画広告の目的を達成するために、どのような年齢、性別なのかといったターゲットの属性を設定することで、そのターゲットが興味・関心を持ってもらえるような内容、動画全体の雰囲気やデザイン等の方針、ターゲットの理解の得られやすい伝え方が決まってきます。
動画広告の種類と特徴
動画広告は主に3つの種類があります。それぞれの特徴をおさえた上で、目的とターゲットに合ったものを選択することが広告効果をより高めるのに重要です。ここでは3つの広告の種類とその特徴について解説します。
① インストリーム動画広告
インストリーム動画広告とは、YouTubeなどの動画配信サービス上で動画コンテンツの中に掲載される動画広告を指します。
動画コンテンツを再生する前や再生途中に入る動画広告なので、動画コンテンツを視聴する全てのユーザーに届けられるのが大きな特徴です。
動画広告表示後、数秒後にユーザーが広告スキップできる「スキッパブル広告」と、広告スキップできない「ノンスキッパブル広告」があります。
② インバナー動画広告
インバナー動画広告とは、Webサイトのバナー(広告掲載枠)にて配信される動画広告を指します。
インストリーム動画広告は動画サイト上で配信される広告ですが、インバナー広告が配信されるのは動画サイトに限らず、Webサイト上のバナーにて配信できるため、配信先の選択肢が多く、普段動画を視聴しないユーザー層に対してもアプローチできるのが特徴です。
③ インリード動画広告
インリード動画広告とは、Webコンテンツの途中に掲載される動画広告を指します。
ユーザーがWebページをスクロールしている際に、動画広告が画面に表示されると同時に動画が再生されます。動画広告が画面に表示されてから再生されるので、全てのユーザーに動画の冒頭から動画広告を届けることができ、静止画と比較しユーザーの目を惹きやすいのが特徴です。
SNSを活用する
2021年に総務省が発表した「通信利用動向調査」によると、「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用」については、全体で73.8%、20代では9割を超えており、2019年と比較するとすべての年齢階層で利用率が上昇しているとの調査結果が出ています。
現代では、SNSが生活の一部と言っていいほど、私たちの生活に浸透してきています。広告効果を高める上で、いかに広告を多くの人に届けるかは非常に重要な要素です。
SNSの特徴を踏まえた上で、目的とターゲットに合ったSNSを活用することが広告効果を高める鍵となります。ここでは主要なSNSの特徴をご紹介します。
① YouTube
2020年にGoogleが開催したマーケターの祭典「Brandcast」での発表によると、日本国内の月間アクティブユーザー数は6,500万人を超えており、年々増加傾向にあるとの報告があります。
また2021年に総務省が発表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」では、10代から40代での利用率が90%を超えるという報告があり、若年層から中高年での年代で特に利用されているという特徴があります。
他にもYouTube広告はGoogle広告のデータを使ったターゲティングが可能であるため目的に合わせて適切なターゲティングをすることで、広告効果の改善が期待できるのも大きな特徴です。
出典:
2020年Googleの「Brandcast」での発表
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2020-2/
2021年総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765258.pdf
② Instagram
Instagramは2019年に日本国内の月間アクティブアカウント数が3300万人を突破したことを発表しました。
また2021年に総務省が発表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」では、年代別で10 代の利用率が 69.0%で最も高いという報告があり、特に若年層に利用されているという特徴があります。
ハッシュタグからの流入がが多く見込めるのも大きな特徴の一つであり、Instagram広告はMeta社(前Facebook社)広告と同じターゲティングが可能で精度高く広告配信できる媒体となっています。
出典:
Meta社発表
https://about.fb.com/ja/news/2019/06/japan_maaupdate-2/
2021年総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765258.pdf
③ Facebook
2019年Facebook社(現Meta社)は、日本の月間アクティブユーザー数は2,600万人であると発表しています。
他のSNSと比較すると少なく感じるかも知れませんが、Facebookの強みは他にあります。他のSNSではない基本実名登録制であるため実生活関連の投稿が多く、リアルな知り合いとのつながりが多いのが強みです。
情報を拡散したときに、情報の内容はもちろん大切ですが、誰が拡散しているのかという点も同様に重要となってきます。その点Facebookでは既に信頼関係を築けている関係であることが多いため、拡散された情報の価値が高まります。また他のSNSと比較し若年層の利用率が低めで、中高年ユーザーが多いもの特徴です。
出典:Facebook:CNET Japan『フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」』
https://japan.cnet.com/article/35139021/
④ Twitter
TwitterはTwitter Japan アカウントにて日本国内の月間アクティブアカウント数が4,500万人を超えたと発表しています。(2017年10月時点)
また2021年に総務省が発表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」では、年代別利用率では10 代及び 20 代が高く、それぞれ 67.6%、79.8%となっています。
Twitterは他のSNSと比較し、その手軽さからリアルタイムでの情報発信や情報収集に優れた特徴があります。さらに匿名ユーザーが多いことや「いいね」「リツイート」機能により情報の拡散性が非常に高いのが特徴です。
出典:
Twitter Japan アカウント
https://twitter.com/TwitterJP/status/923671036758958080
2021年総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765258.pdf
総務省「通信利用動向調査」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
今後も伸び続ける動画広告市場
動画広告は視覚と聴覚に訴えることにより、伝える側の意図を直接届けることができます。また動画は視聴者の目に留まりやすく、意識を広告に向けることが可能です。
そのような動画の性質とスマートフォンやインターネット環境の改善により今後もますます動画広告市場は伸びていくものと予想されます。
企業としてこの流れに遅れを取らず、適切な動画広告を選択し活用していきましょう。
動画制作を進めていく上で後押しとなる動画制作で使える補助金についても併せてご覧ください。